月と電車の来ないホームとベンチ

空を見上げると、まんまるの月が真上にあった。
星もいっぱい見えた。雲は無かった。
雲が月を演出する事は無かったけれど、
月はとても明るくてきれいだった。
そんな事を思いつつ、空を見上げながら歩いた。

駅。
時刻表を見上げる。
20分は電車が来ない。
前の電車と、次の電車の間隔が長い。
時間の穴にすっぽりと飛び込んだらしい。

駅のホームには誰も居ない。
コートに身を包む人がいる夜。
ベンチに座って思った。
「なんてラッキーなんだ」

まんまるの月が真上にある夜。
誰も居ない駅のホーム。
20分は電車が来ない。
こんな状況で、ベンチに座って読書ができるなんて。

やろうと思ったってできない。
今日はついてる。