ファイナルコール4

来た道を戻りながらも違う道へ進むバス
鼻歌を歌う係の人
道を間違えた運転手
目の前に見える見覚えのあるマークのついた飛行機
入り口には階段がついている
脇には添乗員
今度こそ帰れるのか…?
バスは停まった。どうやらここで降りるらしい。添乗員さんがバスの扉の前まで駆け寄る。今度は間違いない、日本へ行く飛行機はこれだ。航空券とパスポートを見せると、やっぱり我々を待っていたらしい。階段の横に2名、飛行機の入り口に1名、お待ちしていました。どうぞ中へ。そんな顔をして待っていてくれました。

すごい体験をしたせいか、機内の通路を歩いている時も待ってくれていた乗客の皆さんに申し訳ないという気持ちが浮かんでこなかった。バスの中では「すみません」と言いながら通路を歩く自分の姿を思い浮かべていたのに、そんな余裕は無かった。手荷物を頭上に置いて席へついた。「まもなく当機は離陸します」そのアナウンスと同時に私はシートベルトをしめた。「ふー」っと一息ついて席に深く腰かけると笑いがこみ上げてきた。同僚もそうだったらしい。二人で「あはははははははは」と笑ってしまった。間に合ったと確信して安心したせいかどっと笑いがこみ上げてきた。

まもなく飛行機は離陸した。天気は曇り。空は雲で埋め尽くされていた。じっと外を見ていると段々と雲が近くなり、視界が真っ白になった。しばらくその景色が続き明るくなってきた。そこで見たものは今まで見た中で最も盛大な雲海。眼下には真っ白でデコボコした雲が広がっていた。そして初めてみたもの。それは雲の上にある雲。下には雲。上にも雲。雲と雲の間に一面の空間が広がっていた。綺麗だ。壮大だ。本当に感動した。とてつもなく神秘的な光景だった。

飛行機はさらに高度を上げ、眼下には一面の雲。頭上には真っ青な空。あまりに綺麗な景色だった。そして次に見たものは真横に見える青空。飛行機は翼を傾け進路を定めようと左に傾いたとき、私の右手に見える景色は真っ青になった。青空を水平に見たのは初めてだった。なんて青いんだ。元々青空が好きで、よく空を見上げていた私でもこんなにも近く、本当に青い空を見たのは初めてだった。

こうして3時間のフライトの後、私は日本へ降り立った。時刻は既に8時。おなかがすいていた。乗る電車まで十二分に時間があったので、夕食を食べる事にした。なんだかんだで時刻は9時になろうとしていた。私たちはレストラン街へ向かった。しかし、そこで見たものは…

閉店しつくした店の数々。どこもやってない。なぜこんなにも早く飲食店が閉まってしまうんだ?そういえば、さっき出発ロビーに人が居なかった。昼間は人であふれかえっている出発ロビーに人が居なかった。カウンターにも人が居なかった。あまりに静かで不気味だった。でもおなかはすいていた…。あきらめて帰るかと言った時、スターバックスがまだ開いていた。もしかして…と思って行ってみるとまだ注文できた。サンドイッチとコーヒーを注文し、ゆっくりと座って食べた。こうして今回の私の中国出張は終わった。

長いストーリーを最後まで読んでくださって、ありがとうございましたm(__)m