物差し

10万円のパソコンを高いと思いますか?これは人によって答えが違うと思います。「10万円なんて高い!」「10万円!?安いじゃーん」「スペックが分からないとなんとも…」などなど。それはその人が「パソコンに関する知識」をどれだけ持っているかによるんです。パソコンの価値を計るための物差しを持っているかによるんです。物差しとは言い換えるなら価値観です。

私は10万円のパソコンは安いと考えています。昔、こんな会話がありました。「自転車ボロボロじゃない、買い替えなさいよ。1万円くらい買えるんだから。パソコンに比べたら安いもんでしょ」「えっ!!自転車に1万円!?自転車にそんなお金出せないよー」

物の価値観は人それぞれで、その価値観と値段を比べて安いか高いかを判断するわけです。例えばパソコンを全く知らない人は10万円はすごく高い買い物だと思い、パソコンに詳しい人は10万円に見合ったスペックかどうかを判断して、安いか高いかを判断できるわけです。つまり、価値を知らない人は生粋に値段のみで価値を判断し、価値を知っている人は値段が価値に対して妥当かどうかを判断できるという事です。

物の価値を見定めるのが自分が持っている物差し。物の価値を物差しで計って、それが提示されている値段と合っているかどうか。物差しが短い人は、質の高い物を計りきれず値段を見て高いと判断する。決して悪いものでは無いという事は理解できるのだけれど、それがどの程度で妥当なのか判断できない。同じ物を計るのでも、人によって物差しの長さは違います。相手の物差しで物事を計ると、全く新しい物の見方ができますが、なかなか理解するのは難しいかもしれません。興味のある分野の物差しはとても長くて、興味の無い分野の物差しはとても短い。知らない分野については物差しすら無いんですから。

でも悲しむ事はありません。知らない事があるって事は、知る事ができる事がまだあるって事です。自分の価値観を伸ばす可能性がまだあるってことです。価値観は育てる事ができるので、自分で物差しを伸ばしたいって思ったら、その分野に興味を持つだけで随分違います。そしてその分野に対して努力を始めたら物差しは伸びていきます。スキルとでも言いましょうか、物差しを伸ばせば伸ばすほど、上質なものを適切に判断する事ができるようになります。物差しを伸ばす事は贅沢をするという事ではなく、物の価値をより正しく見る事ができるようになるってことです。

余談ですが、ThinkPadのT42pの最高スペックに40万出したとしても、私は安い買い物だと判断します。逆に自転車に5万円つぎ込んだら高すぎると判断します。これが価値観の違いですよね。それが正しいも正しくないも、判断しているのは本人なので、それを批判するのは価値観の違いというだけ。上にも書いた通り、人の価値観を理解するのはなかなか難しいものなのです。でも、全部は理解できなくても、共感できる部分がたくさんあるのは間違いないです。