暗闇と寒さと木の葉と禿げ

真っ暗で深々と寒かった。でも月は明るかった。空が真っ暗だからこそ、月の明るさが映えた。道行く人の吐き出すタバコの煙もやけに白くて、停めてある自転車の椅子は霜のせいで濡れていた。

風に吹かれて木から葉が落ち、舞っていた。木は葉が無くなり寒そうだ。動物は冬になれば毛深く温かくなるのに、なぜ木は冬になると葉を落としてしまうんだろう。寒くないのかな。

木は例え禿げても、春が来ればまた葉をつけてフサフサ。人間も冬に禿げになって、春にフサフサになるなら、Spring Framework(と書いて春と読む)について書いた本の表紙は禿げの人でなく、きっとフサフサだったに違いない。そして通称フサ会なる読書会があったかもしれない。

木から葉が落ちるのは風流とも言えるが、抜けたら風流なんて言ってられないのが人間の髪。紅葉を見て風流だと言えるのが木の葉。年がら年中、紅葉を楽しめるのが人間の髪。それは紅葉でなく茶髪だろう。

秋。そして冬が来る。そんな事を考えながら真っ暗な空に輝く月を見ながら帰った夜でした。